瓶 入 り 瓢 

(黒崎 幸江)

 

概要

 開花直後の果実を果梗ごと空き瓶の中に入れて育て、完熟後に『仕上げ』『飾り』を施す技術であり、初めて見る人に「どうして作ったのですか?」と不思議な顔をされる。小型種( ミニ、千成)で果梗が長いものが適当。                       

 
使用する主な用具

(1) 空き瓶:無色透明なものが適当(ウイスキーの空き瓶など)。瓢箪のサイズより大きめ のもの。
(2) 手拭い:瓶の中の瓢箪の固定に用いる。
(3) 電動ドリル:瓶の中の瓢箪の口に穴を開ける。木工用の刃(直径 7mm程度) を用いる。
(4) ピンセット・丈夫で先の尖った針金:瓶の中での取り扱いに用いる。

 

作業手順


(1) 着果して間もない幼果の瓢箪を果梗ごと瓶の中に入れる。
(2) 瓶をビニールの紐で吊るしたり、棒で支えたりして固定する。雨の侵入を防ぐため、瓶の口を斜め下向きにするとよい。
(3) 時々見回り、溜まった水を出し、瓢箪が腐らないようにする。
(4) 完熟したら、果梗を切って収穫。
(5) 瓢箪の口に穴を開ける。
  幅5p程度に割いた手拭いの端を入れ、瓢箪の下を通して反対側から瓶の口に引上げ、両端が出るようにする。両端を持って瓢箪を引上げ、瓶の入口に瓢箪の口が固定されるようにする。次に電動ドリルを用いて穴を開ける。(『仕上げ』の項参照) 
(6) 瓶の中に水を満たして水漬けし、中身と薄皮を腐らせる。水位が下がったら、水を補給する。腐る部分は徹底的に腐らせると、後の処理が容易となる。
(7) 種出しと果実の洗浄
  種出し:手順(5) に用いた方法で瓢箪を固定し、水流による種出し法(仕上げの項参照)等で種を出し、丈夫な針金の先に布を巻いて瓢箪の表面を洗う。
(8) アク抜き
  「清水を満たし→数日放置→水の取替え」の作業を水が濁らなくなるまで繰り返す。
(9) 乾燥
  水分を拭き取った後、ドライヤーによる熱風あるいはストーブを利用し、出来るだけ早く乾燥させることが重要。手間どるとシミやカビが出やすい。
(10) 飾り紐を結ぶ
 
a. 市販の両房付き揚げ巻結び紐を使用し、コップの胴に瓢箪結びをする。
b 2〜3カ所、しつけ糸で止める。
c. コップから結びをそっと外し、瓶の中の瓢箪に移す。
d. しつけ糸を取る。
e. 瓢箪結びを、丈夫で先の曲がった針金(自転車のスポークが適当)やピンセットを用 いて、ゆっくりと順々に締めていく。
(11) 栓の穴に紐を通し、瓢箪に栓をする。
(12) 座ぶとんを作って、瓶の中に入れる(フェルトを四角に切ってもよい)

 

作品例


 

 


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